伊勢神宮参拝旅行1日目月夜見の座宿泊記 -夕食-

大浴場と客室露天風呂を満喫し、のんびりだらだら過ごしているとお待ちかねの夕食。
レストランや食堂へ行かなくても、部屋に食事が用意される。
些細なことですが、これが非常にラク。
自宅にいるかのようにくつろぐことができます。

「ご用意ができました」
とのお声がかかり、うきうきと食事部屋を訪れると、素敵な料理の数々。

まずは食前酒の柚子酒。
の予定でしたが、お酒が飲めないのでノンアルコールに変更。

温付の伊勢大根と伊勢真鯛の薬膳餡かけ。
あたたかい料理から始まるのがなんとも嬉しい心遣い。
控え目な味付けの薬膳餡で、素材の風味をしっかりと感じられる一品です。
伊勢大根は噛みしめるとじわっと甘味が広がります。
伊勢真鯛はホロッとほぐれて、鯛の香りが口いっぱいに広がる美味しさ。
夕食を目の前にテンションの上がった胃袋もほっこり癒やされます。

続いて前菜。
無花果を赤ワインで煮た甲州煮。
車エビとマンゴーのコンポート。
バイ貝の旨煮に、蛸の柔らか煮。
合鴨ロース赤ワイン煮に渋皮栗甘露煮。
そして柿玉子です。
煮物系は安定の美味しさ。
一方でコンポートや柿玉子、甲州煮などは新発見の美味しさでした。
秋を感じるメニューの数々で
「まだまだ暑いけれど、もう秋なのだなぁ……」
と感じさせてくれます。

ペーパーランチョンマットは、それぞれのお部屋に名付けられた月の説明が書かれています。
恥ずかしながら、このラインナップでは新月と望月ぐらいしか知らなかった私。
色んな月の呼び名とその由来を改めて知ることができました。
また、2026年までの満月の日にちも書かれており
「覚えてたら、夜空を見上げてみようかな」
と月に対する意識がちょっぴり上がったような気もします。

引き続き、お料理は椀物。
「鱧の伊勢茶湯引きすまし仕立て」です。
一瞬
「なすび？」
と見間違えてしまったお茶色に染まった鱧。
身がキュッと引き締まっていて非常においしい。
鱧のうま味がしみ出しただし汁がこれまた非常においしい。
ねっとりとしたごま豆腐もさり気なくおいしい。

続いてお造り。
お料理の器にもこだわりがあり、月をイメージしたものを取り入れているとのこと。
絵になります。
金ぴかの三日月に乗っているのは伊勢海老。
手前の三日月は、さわらのたたきとマグロ、イサキです。
マグロは臭味が全くなくて、とろりと美味しい。

お造りはお醤油ではなくお塩が用意されています。
クリスタル岩塩はまろやかな塩味でどのお魚にも合います。
黒い昆布塩は昆布の旨味と塩味を感じる味わいで伊勢海老にピッタリ。
何よりも衝撃だったのが、茶色いスモーク塩。
燻製のこうばしさを感じる味わいで、さわらに付けて食べると絶品です。
「スモーク塩をあてにお酒を飲まれるお客様もいらっしゃるんですよ」
とのことですが、分かります。
「この塩、美味しいなぁ」
とついつい手が伸びてしまいます。

そして本日の主役（？）「松阪牛豆乳鍋」。
思わず見とれるサシの美しさ。
でも、本音を言うと、
「豆乳鍋ではなくしゃぶしゃぶとかで食べたかったなぁ」
とうっすら思っていました。

しかしこのお鍋、食べてビックリ。
火が通るにつれて、豆乳スープが透き通って出汁の風味がしっかり感じられます。
豆乳鍋なのに豆乳が全然主張し過ぎていない！
そしてお出汁が本当に美味しくて、美味しくて。
未だに
「あの松阪牛の豆乳鍋を大鍋でお腹いっぱいになるまで食べたいね」
と夫婦で偲んでいます。

続いては、鮑とキノコのバター焼き。
時間とともに部屋に満たされる鮑とバターのアロマ！
香りだけでご飯が食べられそうです。

アフター！
鮑の歯ごたえに塩味の効いたバター風味がたまらない美味しさ。
無限に食べられそうです。
器に残った汁まで残さずペロリ。
部屋食なので、マナー違反は治外法権ということでセーフです。

あまりにも衝撃の美味しさの料理が続いたところで、箸休め。
ホタテと鳥貝のめかぶ水晶寄せです。
ホタテだけにホタテ貝っぽい涼しげな器。
心も胃袋も落ち着きます。

留椀は伊勢海老汁。
ご飯は度会産のミルキークイーンとのこと。
香の物はひょうたんといぶりがっこ。
ひょうたん漬けは柴漬けのような味わい。
いぶりがっこはパリポリとした歯ごたえに燻製の風味がなんともクセになるお味。
ふっくらつやつやのご飯によく合います。
とここで、デザートの用意をするので隣のお部屋でしばしお待ちを、とのこと。