ヨルダン旅行4日目。
ペトラ遺跡を後にして、死海へと向かいます。
標高約1,000メートルのペトラ遺跡から、標高-390mの死海へ一気に移動。
前日、体調不良でダウンした私と夫。
朝、起きてみるとHPはやや回復した様子です。
少なくとも熱は下がったようで一安心。
「よかった。これなら何とかなりそうだ」
と水を飲んだ瞬間、ズキュゥゥゥン!!!と腹に鋭い差し込み。
急ぎトイレへ行くと、ひどい下痢。
トイレで第2、第3波に備えていると、トイレの外から夫の弱々しい声。
「おぉぃ……、まだかい……。」
どうやら夫も腹痛の様子。
2人で協議した結果、どうやら食中毒ではないかという結論に達しました。
思い当たることは……、ある!
めちゃめちゃあります!
2日目に食べたケバブ。
「ケバブってこんなに色白だっけ?」
と一瞬不審に思ったんです。
でも、ケバブ職人?のおっちゃんが
「OK!」
というから大丈夫だろうと。
ひょっとしてあのケバブ、生焼けだったのでは?
「そうだ、そうに違いない。」
話し合ってる間も、絶え間なくくすぶるお腹。
10時にはチェックアウトして死海へ向かわなければいけません。
「とりあえず、朝ご飯を食べよう」
と朝食レストランへ行ったものの、2人とも食欲は皆無。
「果物だったら食べられるかな?」
と思ったのですが、食欲がない上に、何も食べてないのにお腹が下る下る。
こりゃ無理だ、と早々に部屋に戻りました。
2分おきぐらいに交互にトイレへ行きつつ、荷物をパッキング。
忘れ物がなかったことが奇跡です。
ペトラ遺跡から死海まで車で約2時間。
2分おきにトイレに行ってるのに、2時間の行程をどう耐え凌ぐのか?
「ドライバーさんにお願いして途中でトイレに立ち寄ってもらう」
と夫。
そうこうしている間にチェックアウトです。
「途中でトイレに立ち寄ってもらう」
と豪語していた夫。
出発早々、トイレが絶望的であることを悟りました。
「トイレがなければ、木陰でもかまわない!」
と言っていたものの、木陰すらありません。
貨物列車は通っています。
不気味な沈黙を保つ腸。
腸を刺激しないよう、水分を摂らずに我慢我慢。
恐らく、食中毒の対処法としては最悪ではないでしょうか。
しかしたとえ食中毒菌に腸を支配されていても、人間としての尊厳を失うわけにはいきません。
おもむろに車を停車させるドライバーさん。
トイレ休憩か!
と淡い期待を抱いたものの
「ここが海抜0メートル地点だよ」
とのこと。
海抜0メートルを表す石碑です。
だいぶ死海に近づきました。
そして近くにトイレは……ありません!
「ありがとう、バッチリ写真に撮りました」
歩くと腸が活性化するので、静かに素早く車に戻ります。
非常に分かりやすい看板。
死海はヨルダン側とイスラエル側の両方があります。
イスラエル側は高級リゾートホテルが立ち並ぶ一大リゾート地なのだとか。
ヨルダン側もイスラエルほどではありませんがリゾート地なのだそう。
ということで無事にホテルに到着。
モーベンピックリゾート&スパ デッドシーです。
無事に清潔なトイレにたどり着くことができました。
ホテルはとても広くて、緑が生い茂り、リゾート感満点です。
今回の旅行は主にペトラ遺跡観光がメイン。
死海は、
「死海に行きたい。死海で本当に体が浮くのか試したい」
という私の要望によってスケジュールにねじ込まれました。
そのため、死海滞在は1泊!
すごく素敵なホテルなのにもったいない。
そして、ホテルの敷地が広い広い……。
2階建ての宿泊棟がホテルの敷地内に点在しています。
リゾートホテルの個室ヴィラのようなイメージです。(ヴィラではありませんが)
「部屋、どこやねん……」
くすぶるお腹を抱えつつ、部屋を探します。
スーツケースは後で部屋に届けてくれるとのこと。
到着しました。
この棟の2階が今回の客室になります。
事前に死海が見える客室を予約しておきました。
部屋から死海は……見え……ますね。
広くて快適な部屋です。
部屋にはバルコニーもあって、のんびり過ごすには最適。
バルコニーからだと死海が非常に美しく見えます。
異国情緒溢れるホテルの建築物と相まって、砂漠のオアシスのようです。
室内も非常に快適で、ホテルというよりもプライベートな住居に近い雰囲気です。
長期滞在して、自分の部屋のように使うのでしょうね。
さて、無事に死海にたどり着いたものの、お腹は絶不調。
時間とともに確実に悪化しています。
でも、ここまで来たら死海には入っておかねば。
ホテルにはプライベートビーチもあります。
再び、ホテルの敷地内をさまよいプライベートビーチへと向かいます。
到着。
と思いきや、ホテルのプールでした。
到着しました。
死海です。
死海は、塩分濃度などその特性ばかり注目されますが、景色も壮大。
死海という名前の通り、湖と言うよりも海のようです。
水も透明度が高くてとてもキレイです。
死海の塩分濃度は約30%。
海水の塩分濃度が約3%ですから、約10倍になります。
実際に舐めて確認したいところですが、お腹の調子が最悪な今、そんな危険を冒すことはできません。
とは言え、海水に溶け込んだ塩が塩化ナトリウムであるのに対し、死海の塩は塩化マグネシウム。
海水よりも肌に優しいそうです。
確かに、海水に比べると水がまろやかな気がします。
ただ、水からあがって肌が乾き出すとパリパリになります。(水着も!)
塩分で肌表面がザラザラする感じです。
死海に浮かぶ人たち。
私も実際に試してみたところ、おおっ、浮いた。
浮力が大きすぎて、バランスを崩すとコロンと体が反転しそうになります。
上手くV字を保つのに、多少のコツが必要。
慣れると、プカプカ浮かんで楽しいです。
しばし体調不良を忘れて癒やされます。
ビーチには随所に泥が置いてあります。
泥をペタペタ体に塗ってパックもできるんですね。
きゃっきゃうふふ♪と全身に塗りたくってる欧米の旅行者さんたち。
私も試してみましたが、乾くとパリパリで落とすのがちょっと大変でした。
美肌効果があるそうですが、私の場合は、塩分で肌の油分と水分を根こそぎ奪われた感じです。
なんだろう。
お肌の潤いの差なのかな?
死海での目的も達成し、瀕死のゾンビのような足取りで部屋へと帰ります。
帰り道で再び迷い、さまよう羽目に。
死にそうになりながら部屋に到着。
2階の部屋を希望した自分を罵倒してやりたい気分です。
はしゃいでる間はお腹も沈静化してるのですが、スイッチが切れるとドッとリバウンドが押し寄せてきます。
部屋でゆっくり寝て、体調を回復させよう。
と思ったものの、再び絶え間ない下痢が襲ってきます。
横になる→腹がキリキリ痛み出す→下痢、の繰り返しで全然眠れない。
水分を摂ると、さらにお腹に急降下でつらい。
下痢に海外の硬水はキビシイ。
著しい体力の消耗を実感した私たち夫婦二人。
「何か食べといた方が良いのでは?」
食欲は全くないものの、食事を食べるべくホテルのレストランを探すことに。
かなり長い時間、部屋でへばってたので、どこも満席。
唯一開いていたのがイタリアンレストラン。
パスタを食べる食欲はないので、スープを注文します。
私の頼んだミネストローネ。
ボケボケで何も見えませんが、雑な写真からも当時の体調の悪さが窺えます。
夫が注文した野菜のスープ、だったでしょうか。
届いたスープにはバッチリ卵の黄身(生)が乗っかっていました。
下痢で死にそうな時に生卵……。
夫は、そっと卵を避けてスープを飲んでいました。
さらにサラダ。
今見ると美味しそうですが、当時は
「生野菜とか絶対ヤバいよな」
「なんで頼んだんやろう?」
と、注文したことを激しく後悔した一品です。
ほとんど手をつけずもったいないことをしました。
「ここらへんがピークだろう」
という淡い期待を裏切って、腸内環境は刻々と悪化します。
絶え間なく襲う水下痢。
一晩中、トイレとベッドを往復。
眠れない!
全然、眠れない!!
さらに、尾籠な話しで恐縮ですが便の色が変!
緑色っておかしいよね?
絶対にヤバいよね?
そして、明日もまた移動。
死海からマダバ、アンマンへと一気に向かいます。
無事に明日を迎えることはできるのか?