ヨルダン旅行5日目 マダバとネボ山

ヨルダン
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ヨルダン旅行5日目。
この日は死海からマダバ、ネボ山を観光してアンマンへと向かいます。
死海からアンマンまでは車で約1時間ほどですが、途中たっぷり寄り道して行きます。

食中毒で心身共にダメージを受けた私たち。

「マダバとネボ山観光はあきらめてアンマンへ直行しよう」
「途中、薬局へ寄ってもらって抗生物質を購入しよう」

という結論に達しました。

一応、朝ご飯を食べにレストランへ行ったものの、案の定、ほとんど食べられず。
部屋に戻り、ゾンビのようにうごめきながら無事に荷物をパッキング。

とても素敵なホテルだったのですが、あまり堪能できなかったことが残念。
1泊でささーっと帰ってしまうにはあまりにももったいないホテルです。
次回来ることがあれば、2、3泊のんびりしたいなぁと思いました。

さて、ドライバーさんはとても親切な方で、食中毒の件を伝えると、ひどく心配してくださった様子。
すぐさま薬局へと向かってくださいました。

ただ、アンマンへ直行する件に関しては
「直行しても良いけど、ホテルの部屋には3時まで入れないはずだよ」
「体調を見ながらマダバとネボ山に向かってみては?」
と提案されたので、そうすることに。

薬局に到着しました。

ドライバーさんが薬局の方に事情を説明してくださると、
「それは大変」
とお店の方も心配顔。

「今すぐここで薬を飲んでいくといいわ」
と、抗生物質1箱と水を用意してくれました。

日本では抗生物質は医師の処方がなければ購入できないのですが、ヨルダンでは薬局でも購入できるようです。
自己判断で薬を飲むのは良いことではありませんが、結果としてこの時は本当に助かりました。

さらにお店の方は
「抗生物質だけを飲むのは良くないから、ヨーグルトを飲むと良いわよ」
とアドバイス。
親切な薬局のお姉さん、ありがとう。

取り急ぎ、抗生物質で腸内焦土作戦を敢行します。

マダバに到着しました。

マダバはモザイク画で有名な町。
東ローマ帝国時代とウマイヤ朝時代のモザイク画が残されているのだとか。
だいたい100年から600年頃に造られたものだそうです。
日本で言うと、卑弥呼から聖徳太子の時代ぐらいの遺物になるのかな。

イスラム教国であるヨルダンでは珍しくキリスト教徒の多い町でもあるそうです。
モザイク画が保存されている建物も教会です。

モザイク画が保存されている聖ゲオルギオス教会。
こぢんまりとしたかわいらしい教会です。

マダバ地図と呼ばれるモザイク画。
東ローマ時代のエルサレムを表現した現存する最古の地図だそうです。
海が描かれ、街が描かれ、さらに都市の名前が刻まれており非常に精密なモザイクがであることが分かります。
歴史的な価値もさることながら、モザイク画独特のいびつなラインは手作りの温かさと親しみやすさがあって和みます。

書かれている文字はギリシャ語でしょうか。
聖ゲオルギオス教会はギリシャ正教の教会とのこと。
フレスコ画やモザイク画を信仰の媒体として用いるのも正教会の特徴なんだそうです。

適切な表現か分かりませんが、家や魚、動物の素朴な絵がかわいいな、と思いました。
「昔の人はどんな気持ちで造ったんだろう?」
と考えると微笑ましいですよね。

最初は悩みましたが、やはり訪れて正解でした。

マダバはヨルダンで5番目に大きな都市ということで、けっこう都会です。
交通量も多い。

さて、お腹の調子はというとやや小康状態。
さすがにピークを過ぎたのか、抗生物質が効いてきたのか。
この調子なら何とかなりそうかも。
念のため水分の摂取を極力控えて、アンマンまで乗り切ろうと思います。

と、急遽車を停めるドライバーさん。
「ここのトイレが使えるから」
わざわざ、トイレ休憩を設けてくれたようです。

「わわ、すいません。ありがとうございます」
そそくさとトイレを使わせてもらう私たち。

車に戻ると
「さあどうぞ」
とヨーグルトドリンクをくれました。
どうやら私たちがトイレに行ってる間に、お店で購入してくださったようです。

なんて親切なドライバーさんなんだろう。
ありがたいなぁ。
と思った次の瞬間に、ズキュゥゥゥン!!!と再び腹に衝撃。
治まっていた食中毒菌が再び活性した模様。
いや、味方を得た善玉菌が攻勢に転じて、食中毒菌を排出しようとしているのか。

どちらでも良いけど、かなりピンチです。

お腹の状況が急変する中、ネボ山に到着しました。

「ここを登った場所にもトイレがあるはずだよ」
と、ドライバーさん。

ありがたや!

若干の坂道を上り、ネボ山の頂上?を目指します。
お腹を刺激しないよう、要注意です。

到着しました。

トイレはスグに見つかりました。
が、恐ろしく汚い。

やっぱりまだもうちょっと我慢できるかも……。

山頂には青銅の蛇のモニュメントがあります。
モーセが荒野で造って掲げた青銅の蛇と、イエスが磔にされた十字架の象徴だそうです。

モーセはこのネボ山頂から約束の地(カナン)を眺望したと言われています。

「で、約束の地ってどこなんだ?」
という疑問が湧いてきます。

ウィキペディアによると、北はテルダンと呼ばれるヨルダン川上流の町。
南はベエルシェバと呼ばれるエルサレムの南に位置する町。
東はヨルダン川で西は地中海までの土地だそうです。
ざっくり現在のレバノン国境からパレスチナ自治区の南端まで。
そりゃ揉めるでしょうね。

ちなみに、約束の地は複数あってそのうち一つが日本だったという説もあるそうですよ。

山頂からの距離を示す案内板もあります。
方向だけでなく、線の長さで距離の違いが分かるのがおもしろいです。

ベツレヘムまでは50km
クムランへは25km
字が消えてしまっていますが、エルサレムまでは46km。
ガリラヤ湖へは106kmだそうです。

ウィキペディアにも載っている「The deth of Moses」という画だと、ネボ山から見渡す限り緑が生い茂っていますが、実際は荒涼とした風景です。

山頂には教会のような建物があり、中に入れます。
聖堂の中はひんやりと涼しくて、暑さと腹痛で弱っていた体が若干癒やされます。

発掘途中の遺跡にも見えます。

調べてみたところ、この建物はモーセ記念聖堂。
4世紀にモーセの死を悼んで建てられた教会と修道院の遺跡を保存する形で設立されたそうです。

聖堂を入った正面にはステンドグラスの窓が3つ。
「こんなところにステンドグラスがあったんだ!」
ってくらい地味なステンドグラスです。

3つの画にギュギュッとモーセの一生が凝縮されて描かれているっぽいです。
あまり詳しくないので憶測です。

遺跡の保存施設ということもあり、建設当時の遺跡もあります。

モザイク画の床です。

マダバで見たモザイク画はもっと粒子?が荒くてガタガタだったのですが、ネボ山のモザイク画はもっと緻密です。
あまりにも緻密でなめらかなので、
「床に絨毯でも敷いてるのかな?」
と錯覚してしまいます。

それぞれ創作された時代が異なるのでしょうか。

クジャクや馬の毛並みまでとても美しく表現されています。

あまりのお腹の絶不調に
「もう、いいや……」
と思っていたのですが、体力を振り絞って見に行って良かったです。

聖堂内を見学したら、再び坂を下りドライバーさんの待つ駐車場へと向かいます。

ネボ山の入り口ある石碑。
2000年にヨハネ・パウロ2世がネボ山を訪れた際の記念碑です。
2009年にはベネディクト9世もネボ山を訪れたそうです。

ネボ山がキリスト教における大変重要な地であることが窺えます。

ネボ山を後にした私たち。
お腹の調子は刻一刻と悪くなっています。
アンマンまで我慢できるのか不安です。

「この近くにお土産屋さんがあるんだけど、どうする?」
とドライバーさん。
「トイレもあるから休憩もできるし、知り合いの店だから買い物したら値引きもしてくれるよ」
とのこと。

お腹を下して、ここ数日買い物どころではありませんでした。
購入したものと言えば、ペトラ遺跡で買ったサンドボトルのみ。
何よりも、トイレに行きたい。
お土産物屋さんに立ち寄ってもらうことにしました。

連れて行ってもらった場所は、超巨大なお土産物屋さん。
一面にずらりと並ぶのは、死海の泥グッズ。

夫と
「何でもいいからこの店で全てのお土産を買ってしまおう」
ということで意見が一致。

しかし安心すると緩むお腹。
お店の方の説明もそこそこに
「すいません、トイレ!」
と、トイレに駆け込むこと数回。

値段や商品をじっくり見ることなく、
「もういいよね。余ったら自分たちで使おう」
とテキトーな判断でお店の商品を大人買い。

この時、判断力ほぼゼロで購入したお土産、意外にも好評でした。

「ホテルまではあと1時間ほどだから」
ということで、いよいよアンマンへと向かいます。

途中、見かけたケンタッキー。

さらにマクドナルドも!

「え?マクドナルドがあるの?」
「一体、何を食べるんだろう?」
と興味津々。

元気だったら直接行って確認したところですが、いかんせん体調は再び絶不調です。

「さあ、着いたよ」
うへー、助かったー。

あれ?ここ、インターナショナルホテルだけど。
私たちが日本で予約したのは確かインターコンチネンタルホテルだったはず。
もしかして、インターコンチネンタルホテルだと思ってインターナショナルホテルに予約してしまったのか?

慌てる私たち。
慌てるドライバーさん。

ドライバーさん、電話で確認後、
「ごめん、インターコンチネンタルだった。今すぐ向かう」
ああよかった。

安心して緩みかけたお腹を再びなだめすかします。

無事にインターコンチネンタルホテルに到着。
大きなホテルでセキュリティも万全です。

車一台一台を入念にチェックした上で、宿泊客は空港のゲートのようなところを通り、さらに手荷物検査。
これを、ホテルに入る度にやっています。
ひえー、大変。
うかうか部屋に忘れ物もできませんね。

「僕は今から空港にお客さんをピックアップに行って、アカバに向かうよ」
とのこと。
明日は別のドライバーさんが迎えに来てくれるそうです。

「色々トラブルがあったけど、ヨルダンのことを嫌いにならないでね」
最後まで親切な方でした。
ヨルダンは何も悪くないですよ。
不注意だった私たちの問題であって。

そして部屋に入った途端に、死に絶える私たち。

実は、インターコンチネンタルホテルを選んだ理由が「レバノン料理」。

「レバノン料理というのが美味しくて、海外のセレブに人気らしい」
と聞き、レバノン料理に興味を抱いていました。
とは言え、日本でレバノン料理が食べられるお店はほとんどないし、レバノンに行く予定もありません。

調べてみると、ヨルダンでもレバノン料理が食べられるらしい。
アンマンのインターコンチネンタルホテルにレバノン料理レストランがあるとのこと。

「アンマンではレバノン料理を食べるんだ♪」
と張り切っていたものの、多分無理そう。

インターコンチネンタルアンマンは非常に快適なホテルで、水回りも清潔。
元気なときに泊まれっていれば、この上なく良いホテルだったんでしょうね……。

再び、激しい下痢に見舞われる私たち二人。
ピークは過ぎたと思っていたけど、甘かったようです。

何も食べられないのでルームサービスで果物を注文。
さようなら、レバノン料理。

結局この日もひどい下痢で、一晩中トイレとベッドを往復。
早く日本に帰りたい!

明日はいよいよ最終日。
ヨルダンを離れ、ドバイを経由して日本へと帰国します。
が、ドバイ発関空行きは深夜便!
あと1日が長い!

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